牛乳が体に良いことは、皆さんもご存じたと思います。
牛乳はカルシウムをはじめとする栄養素がとても豊富です。子供の成長に欠かせない栄養素も多く、給食に毎日出されるほどです。
大人になっても牛乳を毎日飲む人は多いでしょう。
筆者もそんな「牛乳ラブ」な人間の一人です。
牛乳にはどのような健康効果があるのでしょうか?
気になる副作用は?
牛乳好きだからこそとことん調べることができた、牛乳の秘められた可能性を解説していきます。
目次
生乳、加工乳の違いは?
スーパーなどで多くの種類が並ぶ牛乳ですが、パッケージをよく見ると「加工乳」や「生乳100%」といった表示があります。
これらの違いは何でしょうか?
実は「牛乳」とは、牛から絞った牛の乳「生乳」に、添加物を一切加えず、過熱殺菌したものだけを指します。
純粋な牛乳は「成分無調整牛乳」と表示されます。
また、生乳100%の牛乳の脂肪分や水分を調整しているものを「成分調整牛乳」と呼びます。
成分調整牛乳には、脂肪分を0.5%以上1.5%以下に調整した「低脂肪牛乳」、0.5%以下に調整した「無脂肪牛乳」があります。
また、水分を抜くことで、脂肪分を高くしたものも成分調整牛乳に含まれます。
基本的にこれら「牛乳」には「生乳100%」と表示されていることが多いです。
生乳にクリームやバター、脱脂粉乳など特定の乳製品を加えたものを「加工乳」と呼びます。加工乳は100%の生乳を使用するのではなく「50%の生乳+50%の脱脂粉乳」というように、牛乳とは製法が違います。
バターなどの脂肪分でコクを加えた濃厚タイプ、逆に脂肪分を減らした低脂肪タイプが一般的です。
加工乳は牛乳に比べ、乳製品のかさましを行っているため、比較的安価なのが特徴です。また、パッケージに「牛乳」と表記することが禁止されています。そのため「ミルク」と表記されていることが多いです。
牛乳と加工乳はどっちがいいの?
牛乳と加工乳はどちらの方がおすすめかは一概には言えません。
どちらにもメリット、デメリットがあります。
例えば、牛乳は季節による牛の体調の変化で味や栄養素も変化します。
夏は食物繊維の多い草を食べるため脂肪分が少なくなり、牛乳も薄く感じます。逆に冬は脂肪が蓄えられるため、牛乳にもコクがでます。
また、牛乳は比較的高価格です。
加工乳は季節による味のばらつきはありません。そのかわり添加物を加えているため、嫌う人も多いです。逆に牛乳よりも栄養素が豊富な場合があるため、加工乳を好む人もいます。
また、味覚が敏感な人は牛乳の方がナチュラルな味に感じる場合があります。
比較的安価ですが、添加している成分によっては、牛乳より高価になる加工乳もあります。
牛乳、加工乳それぞれにメリットがあります。どちらを選ぶかは、成分や味、価格による「お好み」で判断するのがよろしいかと思います。
牛乳の栄養素
牛乳の栄養素と聞いて最初に思い浮かべるのはカルシウムですよね。「牛乳=カルシウム」とも言えるほど、牛乳にはカルシウムのイメージが定着しています。
しかし、牛乳にはカルシウム以外にも多くの栄養素が含まれています。
カルシウムなどのミネラルはもちろんですが、三大栄養素のたんぱく質、脂肪、炭水化物もしっかり含まれています。さらに、美容や免疫システムに必要なビタミン群も含んでいます。
牛乳は効率よく栄養素を摂取できる、優れた健康飲料なのです。
牛乳が給食に毎日出される理由が分かりますよね。
牛乳200ml中の栄養素一覧
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 138kcal |
たんぱく質 | 6.8g |
脂質 | 7.83g |
炭水化物 | 9.89g |
ビタミンA | 78.28ug |
ビタミンD | 0.62ug |
ビタミンE | 0.21mg |
ビタミンK | 4.12ug |
ビタミンB1 | 0.08mg |
ビタミンB2 | 0.31mg |
ナイアシン | 0.21mg |
ビタミンB6 | 0.06mg |
ビタミンB12 | 0.62ug |
葉酸 | 10.3ug |
パントテン酸 | 1.13mg |
ビオチン | 3.71ug |
ビタミンC | 2.06mg |
ナトリウム | 84.46mg |
カリウム | 309mg |
カルシウム | 226.6mg |
マグネシウム | 20,6mg |
リン | 191.58mg |
亜鉛 | 0.82mg |
銅 | 0.02mg |
ヨウ素 | 32.96ug |
セレン | 6.18ug |
モリブデン | 8.24ug |
牛乳の効果
牛乳には豊富な栄養素が含まれています。
では、これらの栄養素にはどのようなはたらきがあるのでしょうか?
牛乳を飲むことで得られる効果を解説していきます。
骨や歯の強化
カルシウムは丈夫な骨や歯を作るために必要なミネラルです。全身の99%のカルシウムが骨や歯に含まれています。
カルシウムは元々吸収されにくい栄養素なのですが、牛乳は他の食品に比べて、カルシウムの吸収率が優れていると言われています。
これは、牛乳に含まれるカゼインや乳糖による作用です。これらのおかげで、効率よくカルシウムを吸収することができます。
さらに、牛乳にはリンが含まれています。リンもカルシウムと同じように骨や歯の形成に欠かせないミネラルです。リンが多すぎるとカルシウムの吸収を邪魔しますが、牛乳はカルシウムとリンの比率が絶妙です。
そのため、効率よく骨や歯を強化します。
イライラの予防
99%のカルシウムは骨や歯に存在しています。そして残り1%は血液中に存在します。
骨や歯に存在するカルシウムを「貯蔵カルシウム」、血液中のカルシウムを「機能カルシウム」といいます。
機能カルシウムには精神を安定させる効果、つまりイライラを防ぐ作用があります。
さらに牛乳に含まれるマグネシウムにもイライラを予防する効果があります。
牛乳はマグネシウムとカルシウムの比率も優れているため、精神を安定させる効果が期待できます。
豊富なたんぱく質
牛乳にはたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は体のあらゆる細胞を構成するために必要な栄養素で、脂肪、炭水化物と並び「三大栄養素」に含まれます。
たんぱく質を構成するアミノ酸のうち9種類は、体内で合成することができない「必須アミノ酸」です。
必須アミノ酸は食べ物や飲み物から取り入れる必要があります。
牛乳に含まれるたんぱく質は必須アミノ酸が全て含まれている「完全たんぱく質」です。
しかも全てがバランスよく含まれています。
体づくりに最適なたんぱく質だと言えますね。
カゼイン、ホエイで筋肉づくりをサポート
牛乳に含まれるたんぱく質のうち、20%をホエイ、80%をカゼインと呼びます。
どちらもプロテインとして販売されるほど、筋肉づくりに適した効果を持ちます。
ホエイは体内に入ると素早く吸収されます。
筋トレによってダメージを受けた筋肉は、すぐに回復を始めます。この時、たんぱく質が足りていないと、体内のたんぱく質を分解して回復しようとします。
ホエイはダメージを受けた筋肉を素早く修復し、体内のたんぱく質の分解を防ぎます。
ホエイは体内のたんぱく質を減らさずに、より大きな筋肉に成長するサポートをします。
カゼインはホエイに比べてゆっくり吸収されるのが特徴です。そのため、睡眠中の栄養補給に向いています。
睡眠中は成長ホルモンが最も分泌される「ゴールデンタイム」です。
このタイミングにたんぱく質が吸収されることで、筋肉の修復、成長がより高まります。
カゼインは、長い時間血液中にアミノ酸を供給してくれるため、睡眠中の栄養補給に向いています。
牛乳はホエイ、カゼイン両方の作用で、場面に合わせた効果を筋肉にもたらしてくれます。
筋肉の成長をより効率的にしてくれます。
腸内フローラの改善
牛乳に含まれる乳糖は腸内でビフィズス菌や乳酸菌といった、善玉菌のエサとなります。乳糖により善玉菌の数が増えれば、悪玉菌の数が減り、腸内環境(腸内フローラ)が改善されます。
便通が改善されるだけでなく、悪玉菌による腸内の腐敗が抑えられ、大腸がんの予防に繋がります。
免疫力のUP
腸は体の免疫機能の70%をになっています。牛乳により腸内フローラが改善されれば、それが免疫力のUPに繋がります。
また、牛乳のたんぱく質は免疫細胞の元になりますし、カゼインは免疫力UPの効果があります。
さらに牛乳にはビタミン群も豊富に含まれています。
特にビタミンAは鼻や喉の粘膜を合成し、殺菌作用を高めます。また、ビタミンCは抗酸化作用により免疫力を高めます。
牛乳は優れた栄養素により、免疫力UPの効果があります。
デトックス効果
デトックスとは体内の毒素や老廃物を排出する機能のことです。主に排便、排尿、発汗により行われます。
実は体のデトックス機能の70%は排便により行われます。ほとんどの毒素や老廃物が排便により排出されているということです。
牛乳による便通の改善には、デトックス機能を向上させる効果があります。
美肌効果
牛乳にはビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群は主に肌の健康を維持するために必要な栄養素です。
特にビタミンB2は美容に必要な「発育のビタミン」で、不足すると口内炎やニキビといった肌トラブルを招きます。
また、たんぱく質は肌の元になる栄養素です。肌の新陳代謝「ターンオーバー」を行うにはたんぱく質が必要不可欠です。
牛乳の豊富なビタミンB群、たんぱく質の作用により、若々しい肌、美肌を維持することができます。
ミネラル・キャッチャーでミネラルを吸収
「ミネラル・キャッチャー」とはカゼインが体内で分解されてできる「カゼインホスホプペチド」のことです。
文字通り、ミネラルと結びつくことで、その吸収率を高める作用があります。
ミネラルの中には吸収率が悪く、多く含む食品を食べても中々効果を得られないものがあります。
牛乳を飲むことでミネラル・キャッチャーが作られ、ミネラルの吸収をサポートします。
ミネラル・キャッチャーにより、ミネラルの効果を可能な限り高めることができるのです。
カルシウム貯金で骨密度を上げよう
日本人は慢性的にカルシウムが不足していると言われています。
カルシウムの不足は骨密度の低下に繋がり、将来的な骨のトラブルを招きます。
骨密度とはいかに骨が詰まっているかの数値で、これが低くなると骨粗しょう症に繋がります。
骨粗しょう症により骨がスカスカになると、簡単に骨折してしまうなど、生活に支障が出てしまいます。
骨密度は加齢とともに減少してしまいます。しかし、食事や運動により骨密度の低下を遅らせることができると言われています。
日ごろから牛乳でカルシウムを貯金し、骨密度の低下を防ぎましょう。
牛乳でお腹がゴロゴロする理由
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人って結構いますよね。筆者もその1人です。
これが原因で牛乳を苦手に思う人もいるのではないでしょうか。
牛乳でお腹がゆるくなるのは、牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)が少ない『乳糖不耐症』だからです。
乳糖が消化されないことで、腸内で水分が多めに分泌されてしまい、下痢の症状が出るというわけです。
哺乳類は乳糖不耐症である場合が多く、牛乳でお腹がゴロゴロするからって何にも不思議ではありません。
対処次第ではその悩みもなくなる可能性があります。
乳糖不耐症の対処方法
ホットミルクをゆっくり飲むと、下痢の症状がやわらぎます。この際、噛んで飲むと効果が上がります。
この飲み方を続けていると、腸内のラクターゼが活性化するため、乳糖不耐症の改善に繋がります。
また、乳酸菌には乳糖を分解する作用があります。ヨーグルトを摂取することで、腸内の乳酸菌を増やすことも、乳糖不耐症の改善に効果的です。
牛乳は太る!?
牛乳は脂肪分が多く、意外と高カロリーです。牛乳200mlで約138kcalです。
コーラは約92kcal、オレンジジュースは約84kcalですので、牛乳が高カロリーなのが分かると思います。
しかし、牛乳に含まれるカルシウムやたんぱく質には体脂肪を燃焼させる効果があります。
高カロリーでありながら、逆にダイエット効果が期待できます。
牛乳で太るということはありません。
まとめ
牛乳には健康維持に必要な栄養素がたっぷり含まれています。
牛乳は現代の日本人に多く、問題視されているカルシウム不足を解消してくれます。
美容と健康に効果的な牛乳で、若々しい体を維持していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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