食物繊維が便秘に効くという話は有名ですよね。
現在、体に必要な栄養素は6大栄養素まで広げられ、食物繊維もそれに含まれています。
食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなります。善玉菌が活発になることで、腸内フローラ(腸内環境)が改善されます。
このように「腸内で善玉菌のエサとなり、増やす効果のある栄養素」のことを「プレバイオティクス」と呼びます。
プレバイオティクスは体にどのような影響をもたらすのでしょう?
また、プロバイオティクスとの違いは何なのでしょうか?
詳しく解説していきます。
プレバイオティクスって?
プレバイオティクス(prebiotics)は「pre=前に、先に」と「biotics=生物的」が語源です。
プレバイオティクスを簡単に説明すると、
「大腸内の細菌を活発にさせ、増やすことにより、人間に良い効果をもたらす成分」のことです。
ただし、プレバイオティクスに含まれるためには次の条件を満たす必要があります。
1.胃をはじめとする、消化管上部で消化されず、大腸まで届くことができる「難消化性食品成分」であること
2.大腸内に存在する「善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌)」のエサとなり、それらを活性、増殖させる(悪玉菌は増やさない)
3.大腸内の腸内フローラ(腸内環境)をより良い状態に変える
4.大腸だけでなく、全身が健康になるように導く
プレバイオティクスに含まれる成分
現在、プレバイオティクスに含まれている成分は次の通りです。
・オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸など)
・食物繊維の一部(ポリデキストロース、イヌリン等)
プロバイオティクスって?
プレバイオティクスと似た言葉に「プロバイオティクス」があります。
これは「抗生物質(アンチバイオティクス)」の反対語として生まれました。
プロバイオティクスを簡単に説明すると「生きたままの状態で腸まで届く善玉菌のこと」です。
ただし、これにも条件があります。
1.食品としても、医薬品としても体にとって安全であること
2.胃酸や胆汁などに消化されず、生きたまま腸まで届くこと
3.腸内で増殖できること
4.腸内フローラのバランスを整え、悪玉菌を減らす効果があること
5.病気の予防、抗菌作用といった免疫機能により、体に良い影響を与えること
6.飲食により簡単に取り入れられること
7.扱いやすく、安価で生産できること
プロバイオティクスと認められる細菌
・ビフィズス菌
・乳酸菌
・納豆菌
・糖化菌
・酪酸菌
バイオジェニックスって?
プロバイオティクスと似た意味の言葉に「バイオジェニックス」というものがあります。
プロバイオティクスは、生きたままで腸に届く善玉菌のことです。
一方バイオジェニックスは、生きているかどうかは重要ではありません。
例えば、乳酸菌は胃酸で死んでしまうものの、死骸が腸で善玉菌のエサになる場合があります。
また、R-1乳酸菌は、菌そのものが腸まで届く必要はありません。あくまでR-1乳酸菌が作り出すEPSという多糖にNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させ、免疫力を上げる効果があります。
このように菌そのものだけでなく、菌による副産物にも健康効果が期待できるという考え方がバイオジェニックスです。
シンバイオティクスって?
プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取できる飲食物のことを「シンバイオティクス(synbiotics)」と呼びます。
[syn」には「一緒に」という意味があるため、このように呼ばれています。
プロバイオティクとプレバイオティクスを一緒に取り入れることで、プロバイオティクの腸内フローラの改善、免疫力UPといった機能をさらに高めることができます。
このシンバイオティクスの機能は医療の現場でも応用され、数多くの臨床試験により、その効果が報告されています。
まとめ
プロバイオティクは生きたまま腸に届く善玉菌のこと、プレバイオティクスはプロバイオティクスを活性化、増殖させるためのエサとなる成分のことです。
腸内フローラを改善することは免疫力UPや便通改善といった効果に繋がります。
プロバイオティクス、プレバイオティクスの摂取を意識して、腸内フローラを改善し、健康維持を目指しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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