食物繊維がお腹の調子を整えることは、ご存知ですよね。
「お通じをよくする方法」「下痢や便秘を改善する方法」など、便通に関する情報は「食物繊維」がメインキーワードになっていることがほとんどです。
では食物繊維が腸内環境(腸内フローラ)を整えるメカニズムとは何でしょう?
また、「不溶性食物繊維」「水溶性食物繊維」という言葉がよく登場しますが、それぞれの違いは何でしょうか?
食物繊維が体に与えてくれる効果を、多く含む食品も合わせて紹介していきます。
目次
そもそも食物繊維って?
食物繊維の定義は
「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」
とされています。
つまり、人間の消化機能で消化・吸収できずにそのまま排出される物質のことです。人間が消化・吸収できないということは、栄養素ではありませんし、食べ過ぎて太ることもありません。
以前は植物の細胞壁の成分に限定されていました。しかし、研究が進むにつれ、植物以外にも同じような効果を持つ成分があることが分かりました。
そのため、植物だけでなく、動物の体にも食物繊維は存在しています。
食物繊維は食べ物のカスとされていた!?
食物繊維は人間の消化管では消化・吸収することができません。
そのため、以前までは全く必要のない、食べ物のカスだと思われていました。
しかし、研究が進めれ、食物繊維の摂取が足りないと、大腸がんのリスクが高まることが分かってきました。
その後、食物繊維は食べ物のカスとして扱われることはなくなりました。現在は生きるために必要な成分の1つとされています。
六大栄養素としての食物繊維
人間ほ生きるために必要な栄養素があります。
炭水化物、たんぱく質、脂肪は三大栄養素と言われ、エネルギーや体を作るため、特に必要とれています。
その三大栄養素にビタミンとミネラルを加えると五大栄養素となります。
五大栄養素は、不足すると様々な健康障害を引き起こすため、食事からの摂取が求められています。
そして、これら五大栄養素に続く、第六の成分として加えられるのが食物繊維です。
食物繊維は栄養素ではありません。しかし、不足すると大腸の健康維持が難しくなり、免疫機能などに影響が出てしまいます。
生きるために必要な六大栄養素の1つとして、食物繊維は重要視されています。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
食物繊維は大きく『不溶性食物繊維』と『水溶性食物繊維』に分けられます。
不溶性食物繊維
食べたときにザラザラ、ボソボソとした食感を感じるのが特徴です。
主に野菜、米などの穀類、キノコ類、カニやエビの殻、コンニャクに含まれています。
不溶性食物繊維の効果
・体内で水分を吸収し、膨張するため、便の量が増えます。その結果大腸が刺激され、便通が良くなります。
・よく噛む必要があるため、歯やアゴの強化に効果的です。噛む運動は脳に血液を運ぶ役割も果たすため、脳も活性化します。
・腸内の善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)により発酵、分解され、これらの菌を増やす効果があります。
主な不溶性食物繊維
・セルロース
植物の細胞壁を構成する主成分で、野菜やフルーツから多く摂取することができます。日本人が摂取する食物繊維のほとんどがセルロースだと言われています。
・キチン、キトサン
甲殻類(エビ、カニ、シャコなど)の殻の細胞壁を構成する主成分です。コレステロールや有害物質を吸着して排出する効果があり、肥満予防や免疫力UPが期待できます。
水溶性食物繊維
ネバネバ、ヌルヌル、サラサラした食感が特徴です。
主に海藻、熟したフルーツ、里芋や山芋、大麦に含まれています。
※コンニャク芋には水溶性食物繊維が多く含まれていますが、コンニャクの製造過程で不溶性食物繊維に変化します。
水溶性食物繊維の効果
・ネバネバしているため、体の中をゆっくり移動します。そのため、満腹感が続き、食べすぎを防ぎます。
・糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を防ぎます。食前に取り入れることで、より高い効果を発揮します。
・脂肪やコレステロールを吸着して体外に排出する作用があります。
・腸内の善玉菌の栄養源となり、活性、増殖させることで悪玉菌が減り、腸内フローラを改善します。
主な水溶性食物繊維
・イヌリン
ごぼうなどの根や茎が栄養を貯蔵するために存在する炭水化物ですが、人間が消化することができないため、食物繊維とされています。腸内の善玉菌にとって、活性化や増殖のための非常に優れた栄養源となるため、プレバイオティクスに含まれています。
・グルコマンナン
コンニャクイモが栄養を貯蔵するための炭水化物です。チアシードに水を加えるとできる、ゼリー状の物質もグルコマンナンです。吸水性が高く、胃の中で膨らむため、長時間満腹感が続きます。そのため、優れたダイエット食品として注目されています。
食品ごとの食物繊維含有量
食品名 | 水溶性食物繊維 (g/100g) | 不溶性食物繊維 (g/100g) |
---|---|---|
白米 | 0.5以下 | 0.6 |
小麦粉 | 1.2 | 1.3 |
うどん | 0.6 | 1.8 |
じゃがいも | 0.6 | 0.7 |
大根 | 0.5 | 0.9 |
切り干し大根 | 3.6 | 17.1 |
ごぼう | 2.3 | 3.4 |
ほうれん草 | 0.7 | 2.1 |
しいたけ | 0.5 | 3 |
しめじ | 0.7 | 2.6 |
キクラゲ | 0 | 57.4 |
木綿豆腐 | 0.1 | 0.3 |
納豆 | 2.3 | 4.4 |
いりごま | 2.5 | 10.1 |
干し柿 | 1.3 | 12.7 |
アボカド | 1.7 | 3.6 |
ワカメ | 9 | 59.9 |
ヒジキ | 22.5 | 38.2 |
まとめ
食物繊維は第六の成分として、生きるために必要とされています。
現代人は食生活の欧米化が進み、食物繊維の摂取が少なくなっています。
特に糖質を嫌う傾向にあり、炭水化物を極端に食べない人も多いことでしょう。
もちろん糖質を制限することは健康面にも良い影響をがあります。
食前に野菜やフルーツで食物繊維を取り入れることも意識したいですね。
サプリメントで摂取することもできますが、食事から取り入れることが最も望ましいとされています。
バランスの良い食事を心がけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事へのコメントはありません。